沖縄への旅
石垣島へは3度目の旅だった。前2回は観光目的だった。シュノーケルで美しい海の中を覗き(のぞき)水牛にも乗った。しかし今回の旅の目的は観光だけではなく来年2月の「愛コン」で取り上げる「オキナワ」について、どういう気持ちで歌い何を伝えるのかを「探る」旅でもあった。
今、南西諸島(八重山諸島)が騒がしい。台湾をめぐる問題で米中関係が緊張を高め日本も大きな影響を受けている。その緊張の中で軍事力が増強され南西諸島は要塞化されてきている。
日本列島の最西端の国境の島、台湾まで111kmの位置にある与那国島でその現実を見た。
2008年島民である与那国防衛協会のメンバーが「自衛隊誘致」の運動を起こした事から始まる。「自衛隊を呼べば人が増えにぎやかになる。自衛隊に入った次男も帰ってくる」そんな軽い気持ちで「誘致に賛成」したと語る島民。島は「誘致派」と「反対派」の対立で激しく対立した。島民を分裂させる権力の常とう手段だ。島は完全に分断された。そして島民投票が行われ「誘致派」が勝利した。「反対派」は差別され嫌がらせを受け沈黙するしかなくなった。そして「自衛隊」が島に乗り込んできた。最初に陸自沿岸監視部隊が配属されたのが2016年。その後、警戒管制レーダーが配備され日米共同演習で公道を戦車が走行した。
さらに今後、地対空ミサイル部隊も配備が予定され駐屯地は拡張される計画だ。「沿岸監視部隊だから海を見張るだけでミサイルや戦車まで来るとは思いもしなかった」今、多くの「賛成派」だった島民が「こんなはずではなかった」と悔やんでいるが「後の祭り」の感すらする。
僕はこれを書く中で「賛成」「反対」を論じるつもりはない。どちらも自分たちの将来、島の将来を見据えて出した結論だったと考えるからだ。それに正解か不正解かもないとも思う。ただ言えるとすれば、この自然の美しい島が戦場にだけはなってほしくない。人だけではなく自然の中で生きる馬たちやサンゴ達もその生命を戦火で失う事なく全うしてほしいと願う事だ。
「昔からオキナワには「戦争」とか「平和」という言葉はなかった。全てが自然の中に生き、海の向こうとも交流してきた・・・そう語る石垣島のおばぁの顔が浮かんだ。